軟派な王子様【完結】
床に広がる楽譜。


明らかに動揺して震える手と心臓。

その様子に香織も驚く。


「もしかして、一姫ずっと気付いてなかったの!?」

香織は呆れた顔で楽譜を拾い出す。



「なっ何でそうなるのよ。そんなことある訳無いじゃない。」


私は楽譜を拾うことも忘れ、香織に訴える。


「もうこの話学校中の噂じゃない。昇君も認めたらしいわよ。一姫のことが好きだって。」




私の頭の中が真っ白になる。



それでも心臓だけはいつもより数秒速く走るように動いている。






「う…そ…。」






私が固まっていると香織は私の肩を叩いた。


「そんなに驚くことじゃないじゃない。男女は惹かれ合うものなんだから。」


どうして香織がそんなに冷静でいられるのかわからず、どうして自分がこんなに冷静でなくなっているのかも理解できなかった。
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