軟派な王子様【完結】
「ほら、最後はやっぱ観覧車でしょ!!」





もう空は夕暮れ。


真紅の色が顔を照らす。





一姫はまだまだ元気で、足軽に観覧車の箱に飛び乗る。


観覧車はゆっくりゆっくり上へと登っていく。



一姫は子供のように窓にはりついて、だんだんと離れていく地面を見ながらニコニコしていた。


その顔はこの前俺がつれていったオペラや美術館のときとはまるで違っていた。








「これがお前の言う正しいデートってやつか。」


俺は一姫の正面で足を組んだ。


朝ピカピカと輝いていたエナメルはいつのまにか白ボコリで汚れていた。




「あれ、楽しくないの??」


一姫は満足そうな顔をして悪戯に笑う。


「まぁな。ちょっとは…楽しいかもな。」





素直にはいえなかった。

でも…


確かに俺は楽しくて…。



今、夕日の中で笑う一姫がかわいくて…。




いつのまにかこれは恋なんかじゃないって言い聞かせている自分がいた。
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