軟派な王子様【完結】
閉園する間際の遊園地はすごく寂しく見えた。


いや、俺の心が寂しかったのかもしれない。





一姫は相変わらず俺の一歩前を歩いていた。




そのとき、遠くで子供の泣き声がした。

小さなか細い声を精一杯に張り上げている。



どこかの迷子だろうと、俺はそのまま歩いた。


「おい、一姫!!」


一姫は急に走り出した。





「お母さんとはぐれたの!?」


迷子はしゃくりあげながらコクリと頷く。


「ん〜お姉ちゃんと迷子センター行こう。きっとお母さん探してるよ。」


一姫は泣き続ける迷子の頭をなでた。


「おい、んなこと面倒くせーよ。その辺に座らせときゃー迎えにくる。お母さんもお前を探してる。なっ。」



俺は坊主の頭をなでた。


すると一層迷子は大声で泣き始めた。




そんなに泣くことねーだろ…。






「ここはそんなに広くねーから大丈夫だよ。すぐ見つかる。いこうぜ、一姫。」
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