軟派な王子様【完結】
「送ってくよ。車乗って。」


俺は車のキーを取り出した。


「いいの。私歩いて帰る。ここからそんな遠くないし。」


「あぶねーよ。乗れ。」



すると一姫は首を振った。


そして俺の目の前へ寄ってきた。



「プレゼント。」



一姫は俺の手の中へ何かを押し込むと、そのまま走っていってしまった。



「あっ、おい!!」


もう一姫の姿はない。




俺はため息をついて手のひらを開いた。



ストラップ。

ビー球の中に見えるのは小さなクローバー。


「こんなちゃっちーの。よくプレゼントなんて言えんな。」



俺はそれを携帯へつけた。


暗闇の中、そのストラップだけがまばゆいばかりに光、俺は思わずそれを揺らした。
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