軟派な王子様【完結】
すれ違い
「なぁ、今度の土曜海いかね??」


翔はもう一つの信号でブレーキを踏む。


「あぁ、その日は無理よ。バイオリンの演奏会があるの。その日のためにこの二ヶ月間一生懸命練習してきたんだから!!」


私は拳を顔の前で握った。

「へー。じゃぁ俺聴きに行く。どこであんの。」


思わぬ返答だった。
信号が青に変わった。

車がまた動き出す。


「高速下りたすぐの武道館だけど…。本当に??」


「俺は嘘つかねー。」

そういって翔は笑った。
車は私の家の前で止まった。


「ありがと。」

私は一応御礼を言って車をおりた。

「じゃぁ土曜の1時な。」


翔はそういってまた笑った。
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