軟派な王子様【完結】
私は家へ入ろうと体の向きを変える。

「一姫!!」

翔が窓を開け、手招きしている。

何もわからず翔に近寄る。


「――!?」



私の腕を思い切り引っ張ったかと思うと翔は私の頬にキスをした。

「ここじゃないのが残念。」

翔は唇に指を当て、微笑する。
そのまま翔の車は走っていってしまった。




私の頭は真っ白。
放心状態。


頬に手を当てる。


熱くなっているのがわかった。

そして同時に思い出す翔とのファーストキス。



あたし…

あたしどうしちゃったんだろ……。



どうしてこんなに…



ドキドキしてんだろ。

相手は大嫌いなはずの翔なのに…。




そんなとまどいの中、時間というのは残酷で毎日が隼のように過ぎていった。
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