*深海の底で。~もうひとつの人魚姫~*
しゃくりを上げながら、必死に謝るフラン。
「フラン?」
何を言っているんだ?
思いもよらない言葉だった。
だが、それは俺にとってあり得ない言葉だ。
だからおそらくは聞き間違いだろう。
ならば、フランはいったい何を言ったのだろうか。
フランを見つめると、目から大粒の涙が一粒落ちた。
やがて目映いほどの光を放ち、輝く。
そして、それは……。
純白の真珠へと変化した。
「真珠……まさか、フラン?」
俺に恋をしてくれているのか?
「お願い、私を邪魔者扱いしないで、傍にいさせて。この傷を介抱させて。お願いだから……」
そう懇願するフランの眉尻が垂れ下がっている。
目からはまた、涙がこぼれ落ちる。
その、どの涙も、大小さまざまな美しい真珠へと変化する。
「フラン……」
彼女が言ったとおり、俺とフランは両想いだったのか……。