*深海の底で。~もうひとつの人魚姫~*
実感すると、胸の奥がじんわりとあたたかくなった。
こんな気持ちは生まれて初めてで、戸惑いを感じる。
だが、感じているその戸惑い以上に、フランが愛おしい。
「…………ん」
気がつけば、フランの頬に触れていた手は後頭部へと移動し、自分の方へと引き寄せていた。
俺とフランの唇が交わる。
「異形の俺でもいいのなら……。
愛している、フラン」
赤い唇を目の前にしてそう言うと、フランの頬はいつも以上に赤く染まる。
「クライド……。異形じゃないよ、クライドはすごく綺麗だもん。
愛してる」
今度はフランから、俺にキスをする。
何度も、何度も……。