華火(もらいび、おくりび)【BL】
「お前が言わなきゃ俺が言ってやる。
実はお前が―――好きなんじゃないか」
そう言われて私はぱっと顔を上げた。
「……そのようなこと…めっそうもございません」
歳下と言え相手は私の雇主でもあるし、何より男同士だ―――
そんなこと―――……
顔を上げた先に、彼の不機嫌そうな表情にぶつかり、私はまたもぱっと顔を逸らした。
「俺がこの部屋を買ったままに保っているのはお前のためだ。
全て、全て―――
お前のためだ。
お前が真奈美を恋しがっている―――そう思ったから。
俺はもう前を向いている」
彼の言葉に私は顔を上げた。
「俺はお前に他に何をすればいい?どうすればお前は―――」
言いかけて今度は彼が言葉を飲み込んだ。