天国の貴方へ届けたい
「ちょ…ちょっと離してよ…!」




廊下を歩くたび、女子の視線が痛い。




「何あの子聖也君のなんなの…?」




「聖也君ってあんな地味な子が趣味なのかな…」




そんな会話はあたしには聞こえるはずもなくただ聖也君に引っ張られていた。




―――……


あたしは屋上に連れて行かれ、逃げられないように腕をつかまれていた。





「ちょっと離してよ…!なんでそんなにあたしに構うの!?ただの冷やかし!?あなたの考えてること全然わかんない!」





「じゃあお前はなんで逆に俺から避けようとするんだ。俺の家計がヤクザだから?」




「……」





それは聖也君が俺の女とかわけのわからないこと言うからで、ヤクザだからとかいう理由ではない。





まあ確かにその理由もちょっとだけあるけど、差別は良くないしね。




「はっきり言えよ。」





「それもあるけど差別は良くないからそういう理由じゃなくて、あなたが俺の女とか言うから…」





あたしはつい怖くなり、下を向いて言った。
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