モテるんは俺の趣味やっ!
じゃかあしいやっちゃ。
*
「あっ。ミサキおるやーん。
なーなー、遊び行こーやー」
昼休み前の、人もあまりいない学食。
あたしが唐揚定食(税込430円、大盛プラス100円)を味わいつつ、次の講義の教科書を眺めていたら。
世にも奇妙な愛されたがり男・たっちゃんがやって来た。
相変わらずの人懐っこさ全開スマイルをたたえて。
「………たっちゃん。
開口一番、挨拶も無しに、いきなり『遊び行こーやー』って、どないやねん」
「えー? なんかおかしかったか?
そーいや最近ミサキとカラオケ行ってへんなぁ、思て。
ミサキの美声が聴きたくなってんやん」
「さぶっ、うざっ、きもっ。
全身くまなくさぶいぼ出たわ」
「あははー、おもろいなぁ、ミサキは。
良かったやん、こんな暑い日ぃに寒うなれてんから。
いやほんま、今日はあっついなー、秋やのになぁ」
あたしの全力の嫌味がこたえたようすは欠片もなく、たっちゃんは顔のあたりを手で扇ぐような仕草をしながら、にこにことあたしの隣に座った。