憂鬱なソネット
憂鬱なソネット
第一部 出会い編
【憂鬱なソネット】
*
伯母さんがある日突然うちに訪ねて来て、こんなことを言い出した。
「ねえ、あやめちゃんも、もう三十路目前でしょ?
私の職場の上司の息子さん、紹介するから、会ってみなさい」
もちろん、あたしは即座にお断りした。
いまどきお見合いなんて、時代錯誤もいいとこだ。
合コンだって苦手なのに、お見合いなんてもってのほか。
恥ずかしすぎるし。
でも、伯母さんの押しは非常に強かった。
「別に会っても何か損するわけじゃないんだし」
「はぁ、まあ確かにそうですけど」
「減るもんでもないでしょ?」
「そりゃあねぇ」
「ほら、騙されたと思って!」
「…………」
騙されたらたまったもんじゃない、と思ったけど、いちおう口には出さずに我慢した。
あたしがどう断ろうかと頭を悩ませていると、お母さんが口をはさんできた。
「あやめ、会ってみればいいじゃない」
ーーーそう、お母さんは、義理の姉である伯母さんが怖いのだ。
伯母さんは少しヒステリー気味なところがあって。
一度気分を害してしまうと、何ヶ月、何年と、ギスギスし続ける羽目になる。
とにかく、父の親族と穏便にしていたいお母さんは、伯母さんとの関係性を良好に保つため、娘のあたしを生け贄に捧げたってわけ。
【憂鬱なソネット】
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伯母さんがある日突然うちに訪ねて来て、こんなことを言い出した。
「ねえ、あやめちゃんも、もう三十路目前でしょ?
私の職場の上司の息子さん、紹介するから、会ってみなさい」
もちろん、あたしは即座にお断りした。
いまどきお見合いなんて、時代錯誤もいいとこだ。
合コンだって苦手なのに、お見合いなんてもってのほか。
恥ずかしすぎるし。
でも、伯母さんの押しは非常に強かった。
「別に会っても何か損するわけじゃないんだし」
「はぁ、まあ確かにそうですけど」
「減るもんでもないでしょ?」
「そりゃあねぇ」
「ほら、騙されたと思って!」
「…………」
騙されたらたまったもんじゃない、と思ったけど、いちおう口には出さずに我慢した。
あたしがどう断ろうかと頭を悩ませていると、お母さんが口をはさんできた。
「あやめ、会ってみればいいじゃない」
ーーーそう、お母さんは、義理の姉である伯母さんが怖いのだ。
伯母さんは少しヒステリー気味なところがあって。
一度気分を害してしまうと、何ヶ月、何年と、ギスギスし続ける羽目になる。
とにかく、父の親族と穏便にしていたいお母さんは、伯母さんとの関係性を良好に保つため、娘のあたしを生け贄に捧げたってわけ。
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