憂鬱なソネット
「なに、あんたにも人並みに羞恥心とかあるんだ」




「あるに決まってるよ」




「柔道着、着てるくせに?」




「え、柔道着はちゃんとした正装でしょ」




「正装かー?」




「だって、試合とかでも着るんだし」




「それは柔道家だからでしょ」




「そんなもんかなぁ」




「ま、この際どうでもいいけど」





なんせ、あたしは柔道着の袖を履いてる女なのだ。





「ならよかった」





寅吉はにこっと笑った。





あーくそ、やっぱ笑顔、かわいい。







< 29 / 131 >

この作品をシェア

pagetop