憂鬱なソネット
「これ、どうぞ」





男がへらっと笑って、ずいっと差し出したのは。





「………なにこれ」




「銀杏の葉っぱ。そこに落ちてた」




「それは分かってるけど!」




「きれいな黄色だよねぇ」




「…………」





相変わらずのマイペースすぎる空気に、あたしはがくりと項垂れた。







ーーー先日、あたしはお見合いをした。




もちろん乗り気じゃなかった。





お節介な親戚のおばさんが勝手にセッティングして、あたしは無理やり着飾らされて、超高級ホテルに強制送致されたのだ。





むすっとしたままラウンジで待っていると、お見合いの相手は大遅刻して現れた。




それだけでも信じ難いのに、なんとその男はーー真っ白な柔道着を着ていた。





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