憂鬱なソネット
「いい天気だねぇ」





そんなあたしの心中に気づくはずもなく、能天気な口調で世間話など振ってくる無神経男。





「だから?」





あたしは冷ややかにスルーしようとしたけど、寅吉はにこにこしながら、





「元気してた?」




「見りゃ分かるでしょ」





素っ気ないあたしの態度にようやく違和感を覚えたらしく、





「あやめさん……何か怒ってる?」





とあたしの顔を覗き込んできた。





「あやめさん、空見てみて」




「…………」




「よく晴れててきれいな青だよ」




「見りゃ分かる」




「………やっぱり何か怒ってる?」





すたすたと足早に進むあたしの後を歩いている寅吉は、怪訝そうに首を傾げる。




あたしは我慢の限界がきて振り向いた。





「当たり前でしょ!」





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