憂鬱なソネット
「一つお願いがあるのですが!」




「はい!」





寅吉が急に改まった口調になったので、あたしは壁ドンされた体勢のまま、ぴんと背筋を伸ばした。





「俺、またあやめさんに会えなくなったらと思うと、不安で不安で」




「はい……」





寅吉の顔があんまり真剣なので、あたしは茶化すこともできず、ただこくこくと頷くしかない。






「だから」




「はい」





寅吉がすうっと息を吸い込んだ。







「ーーー結婚してください」






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