憂鬱なソネット
「ちょっと静かに考えさせてよ!」





あたしがぜえぜえ言いながら怒鳴ると、寅吉はきょとんとした顔をした。





「あ。聞こえてないのかと」




「なわけないでしょ、この至近距離で!」




「それもそっかー、あはは」






………本当にズレた男!




だって………あたしたち、まだ、会ったの二回目だよ?



一回目は三ヶ月も前、しかも、ただのお見合いだし。



二回目の今日は、偶然会っただけだし。




デートもなんにもしてないのに。



それでプロポーズかよ!





あたしが呆れ返っていると、寅吉はやっぱり真面目な顔で、





「結婚してください」




「ちょ、ま………」




「結婚してください」




「とらき………」




「あやめさんとずっと一緒にいたいんです、二度と離れたくないんです、結婚してください」





< 43 / 131 >

この作品をシェア

pagetop