憂鬱なソネット
憂鬱なクリスマス
第三部 ご挨拶編
【憂鬱なクリスマス】
*
「おねえさぁん、メリークリスマス!」
浮かれきったテンションで背後から声をかけられて。
あたしは大人げないと自覚しつつも、思いっきり眉根を寄せ、険しい顔で振り返る。
サンタの変装でクリスマスケーキを売りさばいているらしい男は、あたしの顔を見た瞬間、引きつった笑いを浮かべて、すすっと目を逸らした。
「………誰も彼もがクリスマスをエンジョイしてると思うなよ?」
そんな卑屈で虚しい独り言は、男には届かなかっただろうけど。
不穏な気配は伝わったらしく、男は『触らぬ神に祟りなし』ってな具合に、ほかの道行くカップルたちに標的を変更した。
どーせあたしはクリスマスイブに何の予定もない寂しい女ですよ。
今だって残業帰りだし、明日も普通に仕事だ。
世間がクリスマスだろーがなんだろーが、あたしはさっさと帰って寝て、明日の仕事のために英気を養うんですよ。
【憂鬱なクリスマス】
*
「おねえさぁん、メリークリスマス!」
浮かれきったテンションで背後から声をかけられて。
あたしは大人げないと自覚しつつも、思いっきり眉根を寄せ、険しい顔で振り返る。
サンタの変装でクリスマスケーキを売りさばいているらしい男は、あたしの顔を見た瞬間、引きつった笑いを浮かべて、すすっと目を逸らした。
「………誰も彼もがクリスマスをエンジョイしてると思うなよ?」
そんな卑屈で虚しい独り言は、男には届かなかっただろうけど。
不穏な気配は伝わったらしく、男は『触らぬ神に祟りなし』ってな具合に、ほかの道行くカップルたちに標的を変更した。
どーせあたしはクリスマスイブに何の予定もない寂しい女ですよ。
今だって残業帰りだし、明日も普通に仕事だ。
世間がクリスマスだろーがなんだろーが、あたしはさっさと帰って寝て、明日の仕事のために英気を養うんですよ。