憂鬱なソネット
あたしは周りが目に入らないようにすたすたと足早に街を通り抜ける。




きらびやかなイルミネーション。


赤と緑と金色で彩られた街。


幸せそうな笑顔で、腕を組んで歩く恋人たち。





………べつにねぇ、羨ましいわけじゃないんですよ、断じて。





あたしは恋人がいないシングルクリスマスってわけじゃないんですからね。




いちおうね、いるんですよ、恋人は。




しかも、先月、なんとプロポーズまでされてるんですからね。





つまり、フィアンセがいるんですよ。






………とか自分で言ってて、虚しくなってきた。




そういう相手がいるのに、それにも関わらずクリスマスの約束もないっていうのは、もっと寂しい女っぽいよね………。






あたしは溜め息を吐き出しつつ、家族の待つ家に向かって歩いた。





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