憂鬱なソネット
クリスマスディナーの支度をしているらしい家々から、香ばしいローストチキンの香りが漂ってくる(気がする)。
クリスマスケーキに目を奪われる子供たちの歓声が聞こえてくる(気がする)。
シャンパングラスを乾杯する音がする(気がする)。
そんな、我ながら卑屈な思いを抱えつつ、あたしは玄関を開けた。
「ただいま〜」
ドアの隙間から明かりが洩れているリビングに向かって声をかけると、お母さんの驚いた顔が現れた。
「え……っ、あやめ!?
帰って来たの!?」
「………は? 自分の家に帰って来て何が悪いの?」
「だって、今日、イブよ!?」
お母さんが戸惑いを隠しきれないように叫ぶと、お父さんまで顔を出した。
「あやめ、なんでこんなところにいるんだ?」
「……………」
実の両親から帰宅を責められるあたしのクリスマスイブは、惨憺たるものだ。
クリスマスケーキに目を奪われる子供たちの歓声が聞こえてくる(気がする)。
シャンパングラスを乾杯する音がする(気がする)。
そんな、我ながら卑屈な思いを抱えつつ、あたしは玄関を開けた。
「ただいま〜」
ドアの隙間から明かりが洩れているリビングに向かって声をかけると、お母さんの驚いた顔が現れた。
「え……っ、あやめ!?
帰って来たの!?」
「………は? 自分の家に帰って来て何が悪いの?」
「だって、今日、イブよ!?」
お母さんが戸惑いを隠しきれないように叫ぶと、お父さんまで顔を出した。
「あやめ、なんでこんなところにいるんだ?」
「……………」
実の両親から帰宅を責められるあたしのクリスマスイブは、惨憺たるものだ。