憂鬱なソネット
「……………」
「……………」
男はそのまま黙り込み、じーっとあたしのほうを見ている。
「……………」
「……………」
ーーーなんか喋れよ!!
いたたまれなくなって、あたしは根負けして口を開いた。
「………えー、トラキチさん、ですか。
変な……あっ、いや、えーと、珍しい……んーと、古風なお名前ですね」
「寅年生まれなんで、寅吉です」
「あ、そうなんですか。
あたしも一緒です」
「え、じゃあ、寅子さん?」
「………………は?」
沈黙。
思考が一瞬フリーズした。
…………とらこ??
なにいってんの、こいつ。
「………いや、あのですね、一緒って言ったのは、寅年生まれの部分で。
名前のほうは違いますから。
あたしは藤沢あやめです」
「あ、そうなんですか」
男ーーー寅吉は無表情のまま、納得したように頷いた。
そりゃそうでしょ!!
寅子なわけないでしょ!!
どこの親が可愛い一人娘に、寅子なんてアホみたいな名前つけるか!!
なんなの、こいつ。
なんかもう、格好だけじゃなくって、やっぱり中身もズレてるわ……。
完全に100%変人!!
「……………」
男はそのまま黙り込み、じーっとあたしのほうを見ている。
「……………」
「……………」
ーーーなんか喋れよ!!
いたたまれなくなって、あたしは根負けして口を開いた。
「………えー、トラキチさん、ですか。
変な……あっ、いや、えーと、珍しい……んーと、古風なお名前ですね」
「寅年生まれなんで、寅吉です」
「あ、そうなんですか。
あたしも一緒です」
「え、じゃあ、寅子さん?」
「………………は?」
沈黙。
思考が一瞬フリーズした。
…………とらこ??
なにいってんの、こいつ。
「………いや、あのですね、一緒って言ったのは、寅年生まれの部分で。
名前のほうは違いますから。
あたしは藤沢あやめです」
「あ、そうなんですか」
男ーーー寅吉は無表情のまま、納得したように頷いた。
そりゃそうでしょ!!
寅子なわけないでしょ!!
どこの親が可愛い一人娘に、寅子なんてアホみたいな名前つけるか!!
なんなの、こいつ。
なんかもう、格好だけじゃなくって、やっぱり中身もズレてるわ……。
完全に100%変人!!