春が来て、君が消える。
キーンコーンカーンコーン…

チャイムがなると、アイツは真っ先にスケッチブックをだす。
前話しかけた時に見たスケッチブックは、あの時は白紙だった。

今も白紙だ。




ふと隣にいる女子達の会話を聞くと、

「まーた黒木、スケッチブック開いてるww」

「しかも開いてるだけで描いてないww」


そんな会話を、クラス全体に聞こえるような大声でしゃべっている。
ムカついた。わざと黒木に聞こえるように言っているとしか思えない。

「おい。」

「なーに?転校生さん?」

「わざわざアイツに聞こえるように言わなくてもいいだろ?」

「…?ぷっ、あはは!」

「は?ちょーウケる!あんた、知らないの?」

「なにを?」

「アイツ、耳が聞こえないんだよ!wwだからなにいったってわかんないし聞こえないんだよ?」


愕然とした。
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