この思いを迷宮に捧ぐ
懸案6

流行病の件

近頃、巷では、若い女がかかりやすい熱病が広がりつつあるらしい。


そんな情報が、保健大臣からもたらされた。

患者同士に接点はないことも多く、感染性のものではないかもしれないが、特効薬が見つからないらしい。


「患者自身は高熱のためにぼんやりしていることが多いのですが、家族からの聞き取りから、医者の間では『恋の病』との俗称がついています」

そこで千砂はチラチラと、視線が投げ掛けられるのを感じたが、気が付かないことにした。

「叶わない恋や、道義的に許されない相手との関係に悩む女性ばかりが発症しています」


...彼らは、一体どこまで晁登のことについて、情報を得ているのだろう。

あれきり、顔も見ていない恋人のことを思い出す。


まさに、私がかかりかねない病だと言うわけだ。


「引き続き、患者については手厚い看護を。それぞれの経過、患者数と地区別発生率、また、他の3ヶ国で同様の症例を調査してください。」





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