この思いを迷宮に捧ぐ
唇にあてたグラスの縁が、やけに冷たく感じられたが、千砂はそれを一気にあおった。

「おめでとうございます。…ただ、」

にこりと仕事用の笑みを浮かべて、千砂は大統領の目をまっすぐ見下ろした。


「もしも、大統領に、有り余るお力がおありなら」


千砂はもう笑うこともやめた。

「ぜひ、武器を持って我が国との国境を超える輩の統制をお願いしたいものですわ」





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