この思いを迷宮に捧ぐ
ふらつかないようにまっすぐ立っているのがやっとの状態になった。


「沈没するならそのままで沈めちゃえばいいだろ、こんな腐った国」

国外から見てもそう見えるのかと思ったら、目眩までしてきた。


これだけの衝撃を与えておいて、ふんふんと鼻歌を歌いながら、翠が画集を開いて見始めたから、次第に千砂はふつふつと怒りが湧いてくるのを感じた。

「腐ってても、私の国なの」

そう言葉にして初めて、千砂は土の国を自分の国だと認めた気がした。

「どうしようと、あなたにそんなこと言われる筋合いはない」
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