この思いを迷宮に捧ぐ
「俺は、君とは結婚できないでしょ?ただ気持ちを吐き出したいだけなら、本当に迷惑」
ああ、そんな言葉で。
千砂は、翠が彼女の心をえぐっているように感じる。
「自分がすっきりしたいだけだね。君の自己満足に、俺を利用しないでくれる?これも返すよ」
「ごめんなさい」
小さく、震えるその声に、千砂は粉々に砕かれた彼女の気持ちを思う。
一言の返事もなく翠が立ち去るのを、千砂はただ息を止めて待っていることしかできしかなかった。
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