この思いを迷宮に捧ぐ

「はーい、じゃあそろそろ閉会」

確かに長引いてはいたものの、まだ何も結論が出ない内に、翠が手を叩いてそう発言するから、千砂は目を剥きそうになった。

さすがに、大臣のうちの一人がむっとした様子で口をはさんだ。

「お言葉ですが、殿下。まだ後継者候補すら決まっておりませんよ」

黄生が失踪して、彼を後継に据える案はたち消えになったものの、依然として後継者を指名することができてはいない。

千砂が強硬なまでに後継者の指名を拒否していたのは、反対派を落ち着かせるためであったが、それが少ない国王の権限の一つだったからでもある。
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