この思いを迷宮に捧ぐ
黄生が候補から外れて、いつかは出るだろうと思ってはいたが、予想より早く議題に上った。
「あー、じゃあ後はあんたにぜーんぶ任せるから。上手くやって」
翠のいい加減な発言に、今度こそ、千砂は唖然とする。
「行きマスよ、ヘーカ」
違和感だらけの言葉を吐いて、千砂の腕を引く。
「殿下、ならばせめて陛下は」
千砂を留めておこうと文化大臣が立ち上がるから、翠はこう言い放った。
「俺だけじゃダメなんだよね。ヘーカもいないと王位継承者は作れないでしょ?」