この思いを迷宮に捧ぐ


そうしてまで、冷静であろうと努力したのに、熱を帯びていく体が、もっと空しい。

だから、全てが終わってしまい、体が冷えてきても、千砂は顔を上げることができずに、自分の短くなった金の髪の中、自分の腕につっぷして埋もれたままだった。


空しいくせに、恥ずかしい。

無理だと思っていたのに。互いに気持ちのない者同士が抱き合うなんて。

一族の存続のためだけに、あの行為は成り立つのだと、自らが実証してしまった。


「千砂」
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