この思いを迷宮に捧ぐ
懸案16

国の方針を定める件

水路増設の記念式典に、水の国から国王と青英、朱理、水都がやってきた。

女王が来ないのは、明らかに翠親子の存在を強く意識してのことだと思うが、国王と青英にはそれを気にするそぶりすらない。

つつがなく式典が終了し、残り数日ある日程を、それぞれ思い思いに過ごしてもらうこととなった。


国務の間を縫って、千砂は朱理に会いに来ていた。

客間から出た廊下で、変わらぬ笑顔を見せる少女に、千砂はどこかほっとする。


「可愛くて仕方がないよ」

そうつぶやく朱理は、もう千砂の方ではなく、危なっかしい足取りで歩き回る王子の方ばかり目で追っている。
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