この思いを迷宮に捧ぐ
懸案17
殿下の処遇に関する件
前を歩いているのは、水の国から、水路の管理のことで2国間の調整に来ていた使者たちのようだった。
「他国とは言え城に住めるなんて、ご出世だな。今度は息子を上手く使ったもんだ」
「確かにな。国王との仲を王妃に疑われていたのに、まさか前国王の子を宿すとは。しかも地方の貴族と再婚までしたらしい」
「それなのにいまだに現国王にもちょっかいかけてる噂があるじゃないか」
「とんだ毒婦だ。水の国が傾く前に出国してくれてよかったよ」
我慢ならなかった。
聞き流すのも限界で、千砂は頭に血が上るのを感じた。