この思いを迷宮に捧ぐ
「どうやら僕は風の国担当外交官、と言う立場らしいです。さっき初めて聞きました。なので、これからもよろしくお願いします」
にこりと笑う風汰に、千砂はくすりと笑う。
「お国柄が出ていて、素敵ですね」
おそらく首相の頭の中では、もっと前からそのつもりで、甥の風汰を土の国への使者に立てたりしていたのだろうが、公式ではなかったこと、このタイミングで任命することが、風の国の長い平和を想像させた。
「発電所には、いつ行きますか?」
「すぐにでも」
「じゃあ、準備はできているので、行きましょう」
そして、風汰は千砂を先導しながら、ふと後ろをのぞき込む。