この思いを迷宮に捧ぐ
それでも、次々に家族を失った私には、この道しか残されていなかった。

それは、誰かが意図して閉ざしたものか。

または、自らその道を選んだものなのか。


忙しさに追われ、神経はすり減らされすぎて鈍るに至り、もはやそのようなことを考える機会すらなくなっていた。



今では、いつからか消えることなくこめかみを締め上げるような頭痛だけが、千砂の精神状態を如実に表しているのだった。




「それから、いつものことですが」

言い出しにくそうに坡留が切り出す。

「風の国から、お見合いの日取りについて相談が来ています」

はあ。今度は隠すことなく大きくため息を吐いた。


「断って。結婚など生涯しない」


千砂は、心の中でだけ「男なんか大嫌い」と叫んだ。
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