この思いを迷宮に捧ぐ
暗い瞳が、闇の中でもぎらりと光るように見える。

無自覚のうちに嫌な予感を覚えて、千砂は少し身構えた。

「あいつを死刑にしてよ」

女王ならば、なんでも自由になると思っている国民が、いまだに多いということは、すでによくわかっているつもりだった。

それでも、今の土の国は絶対王政ではなく、立憲君主制を採っている。大臣をはじめとする国政のトップとの議論で様々な採択がなされるし、女王とは名ばかりで、そのメンバーの一人に過ぎないのが実情だ。

「俺をどんな風に罰してくれても構わないから、あいつを必ず死刑に」

その淡々とした声のうちに、どれほどの苦しみがあったのかと思う。


「そうね。死刑になればいい」


だから、当然のことながら、“できない”というべきだったのに、口をついて出たのは率直な、自分自身の願望だった。

女に乱暴をはたらく男は、全員死刑になればいい。

現在の罪も過去の罪もすべて告発して、社会的にも肉体的にも抹殺してやればいい。
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