黒うさぎからの招待状
アタシはすぐにダニエルに駆け寄り、体を起こした。
「ダニエル?!大丈夫?!返事してっ!ダニエ…。」
「うっせぇ…。耳元で騒ぐな…。」
ダニエルは小さく目を開け、アタシに返事をした。
「よかったぁ…。」
「ダニエル、お疲れ様。」
ジェームスさんが、落ち着き払った声で、ダニエルに言った。
「お前いい加減雑用ばっか押し付けんのやめろ。」
「雑用?何の事かな。」
「知ってたろ。体力かなり消耗すんの。…一歩間違えたら穴抜きだって事も。」
「……知ってた。穴抜きにならない事も。ダニエルはそんなに弱くないだろ?」
「……まあな。」
意味不明な会話を交わしたダニエルとジェームスさんは、アタシに体を向けた。
「賢也もこっち来い。」
促された賢也は、無言でアタシの隣に座った。
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