黒うさぎからの招待状
「じゃあ……、帰ろっか。」
ジェームスさんは、帰る準備を整えてから言った。
「なんか…、寂しいね。」
ここを離れるのは、なんだか名残惜しかった。
「また来れるよ。」
「本当ですか?」
「うん。」
「やったぁ!」
「じゃ、行こうか。」
「うん…。」
アタシ達は、小さな魔法陣に、ぎゅうぎゅうになりながらも入り、その時を待った。
「手、繋いでてね。」
アタシは、賢也とダニエルの手をギュッと握った。
離れる時を待つ間、いろんな事が、フラッシュバックのように、映像が流れた。

ジェームスさんに初めて会った時の事。

千尋さんが死んだ時の事。

ダニエルに会った時の事。

いつの間にか、アタシはダニエルと賢也の手を、強く握っていた。
「ごめん…!」
アタシは慌てて、力を緩める。
「…大丈夫。」
二人はそう言って、強く握り返してくれた。
アタシは安心して目を閉じた。
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