彼は未来人
ハッと気づいたときはガッチリと抱きしめられていて、思い切り安西くんから離れた。
「ちょっと何?!」
「あ、いや、ごめん。」
「前に会ったことあるとはいえ、いきなり抱きしめるとか意味わかんないから!」
「変わらないなぁー」
クスクスと笑う安西くんに、あたしはどう接したらいいの?と疑問ばかり。
安西くんは、笑いを止めるとみりのことを見ながらこういった。
「じゃあさ、あの村田さんだけどさ。好きな食べ物はチョコレートだったりしない?」
「……っ!」
「次の自己紹介のときに、好きな食べ物を聞かれると思うんだよね。だから、村田さんはチョコレートと答えるはず。」
「そんなのわかんないよ。」
確かに、みりは大のチョコレート好き。
実際、聞かれたら必ずチョコレートって答える。
なんでそんなことまで知ってるの?
「ちなみに、」
まだなにかあるの?って顔で安西くんを見る。
もちろん彼は余裕な顔だった。
「さゆりはパスタでしょ?」
だってあたしの好きな食べ物まで知ってたから。