私は雨の日が好き
帰り道が同じだから、気にせず歩き出す。
佐藤はこれ以上濡れないように、私の歩幅に合わせて歩いている。
背は私の方が高いから、私が傘の柄を持ち続け
会話もなく、ただ歩き続け、どんどん強く降る雨音が心臓の音で小さく聞こえた。
チラッと佐藤の方を見ると
黒髪がツヤツヤと光るように濡れていて、顔は凛々しく前を向いている。
気付いてるのかな……?相合い傘って……。
一人ドキドキしているような気がする。
何かを話す気にもなれず、心の中のドキドキを消すので精一杯だ。
別に佐藤を好きな訳じゃない
好きな訳じゃないのに
どうしてこんなにもドキドキするんだろう。
意識が、感覚が、佐藤ばかりを認識してしまっていた