リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「とりあえずひとつだけ言っておくけど。いくら大樹さんがかっこ良くて優しいからって、勘違いはするなよ?おまえは傘を返しに行くだけなんだからな」
「わっ、わかってるし!」
「本当か?カフェで待ち合わせするからってデートか何かと勘違いして浮かれてたらバカを見るぞ」
「なっ……別に浮かれてなんかないし」
わかってる。
勘違いなんてしてない。するわけない。
デートだなんて……そんな大それたこと、思ってるわけないじゃん。
「まぁ……あれだ」
「なによ?」
「大樹さんは確かにかっこ良くて優しいけど……」
「けど?」
「なっ……なんでもねえよ」
健太は絶対に、何かを言いかけていた。
「んじゃ、さっさと着ていく服選んで今日は早く寝ろよ。また明日な〜」
なのにそう言って、部屋から出ていってしまって。
なんなの?言いかけたまま何も言わないなんてこっちはムズムズするんですけど。
「はぁっ……」
って、それどころじゃない。
とにかく早く着ていく服を決めなきゃ。
クローゼットを全開にした私は片っ端から服を引っ張り出して。
次から次に着替えを繰り返した。
そして恐る恐る、ずっとパツパツで着られなかったワンピースにも手を伸ばしてみて。
またそれが着られた瞬間は、少し痩せたことを実感出来たせいか、なんだか飛び上がりたくなるほど嬉しくもなった。
これに決まりだ。これにしよう。
ワンピースなら、少しでも女の子らしくは見えるよね?
今日からは毎日コラーゲンのパックもしようかな。
一週間後には少しでも……綺麗になるように。
ジムだってまだまだ頑張らなきゃ!
浮かれているつもりはなかったけど、私はきっと浮かれてしまってたんだと思う。
まさかあんなことがあるなんて。
浮かれていた心がドン底へと落ちるなんて。
この時はまだ、
思ってもみなかったからーーーー。