リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜



握りしめた手に、ぎゅっと力が入る。


この男にだけは、出来ることなら会いたくなかった。

出来ることなら一生。

顔も見たくなかったのに。



だけどIT企画推進部だ?

この青山商事でそこの部長をしているんだからそんなことも言ってられない。


もしもここに就職出来たら、嫌でも見かけることだってあるだろうし……。


ぼんやりとそんなことを考えていると、うつむいていた私の前でコツコツと歩いてきた黒の革靴が止まった。



「会議まであと15分だぞ?」


「会議……っあぁぁ!そうだった!ったくばあちゃんのせいですっかり忘れてた!」


何故か顔をあげることが出来ない私は、双子が交わす会話を黙ったまま聞く。



「人のせいにする前にさっさと行けよ、今日はモリ住宅の専務も来てる大事な会議なんだから」


「オッケー、わかった!すぐ行く」


えっ……すぐ行く?青山さん?


「じゃあ後はおまえに任せた」


「任せたって何を」


ちょっと待って青山さん。

まさか、私の嫌な予感は当たらないですよね?


「ん?社内見学だよ。下はもう済んだからあとは友樹んとこのIT企画推進部と俺の経営企画部、それから……秘書部と社長室くらいか」


「はぁ?社内見学って何だよ?」


「とりあえず今は詳しく話してる時間はないから。案内が済んだら社長室に連れてってやってくれ。ばあちゃんが待ってるはずだから」


「ちょっ!おい!」



パタパタと走り出していく足音と、シーンとなっていく空気。


嘘でしょ青山さん……

こんな男と私をふたりにしていなくなっちゃうなんて。


ちょっと待って勘弁してよー!



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