リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「……ったく、いちいち初対面ぶってんじゃねえよ」
だけど、うしろからポツリと聞こえてきたその声を、私は聞き逃さなかった。
ピタリと足が止まり、ゆっくりとうしろを振り返る。
すると、視線がすぐにつながった。
「あの、聞きたくもないのに聞こえてしまったんで言わせていただきますけど」
「なっ、何だよ」
「初対面ぶるなってなんですか?だいたいあなたが初めましてなんて名刺を渡してくるから仕方なく私は合わせてさしあげたんです」
黙っていようと思ったのに、気付けばそう口に出ていた。
「……合わせてさしあげた?事実と異なるのに別に合わせる必要なんてないだろ」
「じゃあ、初めましてと言われた時に、私が初対面ではないですよ、大月真琴ですって言っておけばよかったんですか?名前も覚えられてなかったのに?」
「そうだ、ちゃんと説明されていれば、今になってこんな無駄話をしなくて済んだだろ」
……ほんと、ああ言えばこう言う屁理屈人間だ。
「名前は覚えてなくて悪かったが……あのブーちゃんだって言ってくれたら俺はすぐに思い出せたぞ?」
この性悪男、相変わらず……
腹立つー!
「おい友樹、可愛いからってあんまりイジメるなよ」
「はあ?誰が可愛いって?バカ言ってんじゃねえよ」
青山友樹はそう言うと、先にズカズカと歩きだしていく。
「ごめんね、真琴ちゃん」
苦笑いを浮かべた青山さんはバツが悪そうに私にそう謝った。
ああ、神様。
私、やっぱり間違ってたかもしれません。
何でこんなとこ来ちゃったんだろう。
最終面接を蹴ってまでここに来たことを、私は早くも後悔し始めていた。