リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「失礼します」
先に歩いていった青山友樹が、そう言いながら一際立派なドアをノックした。
ついに、社長室まで来てしまった。
「どうぞ、真琴ちゃん」
青山さんは私の背中をそっと押して先に中へと入れてくれる。
すると、真っ白な革張りのソファーに座っていた会長がすぐに私に気付いて声をかけてくれた。
「真琴さん、疲れたでしょう?こちらへ座って」
「あっ…ありがとうございます、失礼いたします」
私は言われた通りに、二つ向かい合ったソファーの空いている場所へ座る。
自然と私は会長の前に座り、青山さんは私の隣に、青山友樹はそのまた隣に座っていた。
「祐二郎、この方がさっき話した真琴さんよ」
「ああ」
会長が話しかけた視線の先を、ゆっくりとたどる。
すると、立ち上がったその人がこちらへと歩いてきて、会長の隣にドシッと腰掛けた。
思わず唾を飲み込む。
この方が、この青山商事の社長さんなんだ。
心臓の音が、ドキドキと加速していく。
「初めまして、青山商事の取締役、青山祐二郎です」
「はい!わっ、私は大月真琴と申します!初めまして!でごじゃいます!」
思わず立ち上がり、私は深々とお辞儀をする。
っていうか……うわぁぁー、勢いあまって初めましてでごじゃいますなんて言ってしまった。
気付かれた……?
自分でも噛んでしまったことに気付いた分、恥ずかしくて顔をあげられない。
だけど、次の瞬間。
「はっはっはっ、ごじゃいますとはなかなか面白いな」
社長の大きな笑い声と。
「ふふふっ」
会長の上品な笑い声。
「真琴ちゃん、今のなかなか良かったよ」
青山さんの優しい声と。
「ははっ、普通、ごじゃいますなんて噛むか?」
……青山友樹の呆れたような笑い声が社長室に響いた。