リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「ここなら人もまだ少ない。賑やかな雰囲気も少しはマシだろ」
前を歩いていた青山部長がそう言って立ち止まったのは、会場の隅に置いてあった小さなテーブルの前だった。
料理やお酒が並んでいる中央付近の賑やかさとは違って、確かに人は少なく感じる。
「まだ何も食ってないんだろ。とりあえず食え」
「えっ?」
青山部長はそう言うと、持っていたお皿をテーブルにそっと置き、私にシャンパングラスを差し出した。
「飲め。このシャンパンかなり美味いぞ」
グラスを受け取りながら、私は思わずクスッと笑った。
「何がおかしい」
「いえ……それ、さっき青山さんも同じこと言ってたので。双子は味覚も同じなんですね」
「なんだそれ」
私がそう言うと、青山部長は呆れたように笑う。
「まぁいいから飲め」
「…いやぁ、私は…」
飲みたいのは山々なんですけども。
お酒、めちゃくちゃ弱いんだよな。
「わざわざ上司が持ってきてやったっていうのに飲まないのか」
「……いえ、そういうわけじゃ」
うぅ……そうなんだよな、この人今日から私の上司なんだよな…それも、直属の上司。
「なんだ、もしかして酒飲めないのか?」
「…いえ」
正直に言えばいいものの、何故か私は心とは裏腹なことを答えてしまう。
「のっ…飲めますよ!」
そしてそう言ってしまった手前、手にしていたシャンパングラスを口に運んだ。