リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「大月」
「はっ、はい…」
いきなり名前を呼ばれ、心臓がドキッと高鳴った。
「さっさと帰れ。別にこいつと飯に行く必要はないだろ」
相変わらずの冷たい口調。
この人は言葉に優しさってもんがないんだよな。
「そうですね。お疲れ様でした、失礼します」
私は淡々と答えると、そのまますぐに歩き出した。
「あ、大月!」
だけどまた名前を呼ばれたせいでその足が止まる。
「何ですか?」
振りかえりながらそう言うと、部長はなぜかこちらに向かって歩いてきた。
そして…
「仕事には慣れてきたか?」
そう言うと私の目の前で止まった。
「…は、はい。新人研修も終わりましたし、今日からは多少簡単な事務作業を任されました。まだ…わからないことも多いですけど」
「そうか。まぁ、明日からはまた俺もいるし、気を抜かずに頑張れよ」
えっ?
「あと、要注意人物は大石だけじゃなくてあいつもだから」
部長はそう言うと、青山さんの方に視線を向ける。
「あいつに近付きすぎたら妊娠するぞ」
「へっ⁉︎」
「まぁ、そういうことだから。気をつけて帰れよ」
「…はい。お疲れ…様です」
私はペコッとお辞儀をすると、青山さんを強引に引っ張りながら歩いていく部長の後ろ姿を見つめた。
…なんか、調子狂うな。
慣れてきたか?とか、気を抜かずに頑張れよ、なんて…ちょっとは私のこと、気にかけてくれてるみたいじゃない。
まぁ、上司だし?
新入社員として一応気遣ってくれてるだけなんだろうけど。
想定外の優しい一面を見てしまうと、なんだか胸の中がムズムズする。