リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜



だけど、しばらくすると…


「顔が怖いぞ」


突然そんな声がしたかと思ったら、それと同時に頬に冷たい感覚が走った。


驚いて顔を上げると、そばには何故か缶コーヒーを手にした部長が立っている。


周りを見渡すと、オフィスには誰の姿もない。

つまり、私と部長のふたりだけになっていた。


「集中するのは悪いことじゃないが。焦って仕事はするな。周りのペースに合わせなくていい」

「えっ……」

「だいたい、おまえと同期入社のやつらは予想以上にデキスギなんだよ」


部長はそう言うと、持っていた缶コーヒーとサンドイッチを私のデスクに置く。

そしてすぐに、自分のデスクへと座った。


「えっ、あの…これは…」


シーンとしたオフィス。

私の小さな声に反応した部長がこっちを向いた。


「昼メシ、食ってないだろ。とりあえず食え」


「やっ…い、いいです!大丈夫です」


「なんだと?上司の俺がわざわざ買ってきてやったんだ。黙って食え」



わざわざ…買ってきた?部長が?どうして?

理解できない行動に、脳内が混乱していく。


「じゃっ、じゃあお金払います!いくらですか⁉︎」

「は?んなのいいから。それよりあと15分で休憩終わるぞ?さっさと食べろ」


書類に目を通しながら、部長は無表情のままそう言った。


シーンと静まり返っていくオフィス。

だけど胸の中で、トクン…と不思議な音が響いたような気がした。



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