リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
だけど部長はそんな私のいきなりの質問にも自然と答えてくれて。
「そうだな…。そう聞かれると、ずっと仕事ばっかしてたし、特に楽しくはなかったぞ」
缶コーヒーを口にしながらこっちを向いた。
その瞬間、不意に目と目が合って、なんだかドキドキしている自分がいて。
不覚にも、やっぱりこの人顔だけはかっこいいな、なんて心の中で思ってしまった。
「海外に興味あるのか?」
「えっ?」
「旅行とか行くのが好きなタイプか」
「いえっ、そういうんじゃないです…。泊まりで旅行なんて学生の頃に行った修学旅行ぐらいしか経験ないですし…海外なんて行ったこともないので」
私がそう答えると、部長はふーんといった感じで相槌を打って。
「どこに行ったんだ、修学旅行は」
何故か私にそんな質問をしてくれた。
だから慌てて昔を思い出しながら口を開く。
「えっと…小学生の時は千葉に行って、中学生の時は長野県にスキーでした。あと…高校生の時に北海道に行ったんですけど、それが最長距離です」
よく考えてみれば、国内でも行った場所は数少ない。
家族で旅行に行ったのも、記憶にあるのは北関東の温泉地ばかりだった。
「友達とは?旅行とか行かなかったのか?」
「えっ?あぁ…はい。ずっと友達って呼べるような友達は…いなかったんで」
…って私、何言ってんの。
言ったすぐ後にハッとなって部長に目を向けると、部長はなんだか気まずそうな表情でこちらを見ていた。