リベンジ!〜大変身は、恋の始まり⁉︎〜
「なんだ、やけに機嫌が良いな」
ぼんやりと周囲に目を向けていると、隣から部長の声が聞こえた。
「えっ、私…ですか?」
ドキドキしながら部長の方に顔を向ける。
すると、すぐに繋がった視線に何故だか一気に顔がボッと熱くなった。
「もう酔ってるのか」
「えっ?」
「顔が真っ赤だぞ」
部長にそう言われて、慌てて自分の頬に手を当てる。
うわっ、すっごい熱い。
今にも顔から火が出ちゃいそうだ。
「そういやさっき」
「はい…」
「俺が着くのがもう少し遅かったら、おまえは大石にキスされてたぞ」
「へっ⁉︎きっ、きっ…キスですか⁉︎」
いきなりそんなことを言われて思わず胸がドキッとした。
「あいつは去年の歓迎会でも大樹の部署の新入社員にしてたし。基本、酔ったらキス魔になる」
キス魔って…。
さっき部長が現れてくれなかったら、私も危なかったんだ…。
間一髪、セーフだったから良かったものの、もう少しで人生初のキスを酔った勢いのキス魔に奪われてしまうところだった。
「だから酒が入ってる席であいつが近付いてきた時はすぐ離れろ。一瞬で奪われるぞ、ファーストキスを」
「なっ…何で…経験がないって決めつけたように言うんですか…」
動揺して、周りをチラッと見渡す。
だけど部長と交わす会話は、騒がしい店内のおかげか周囲のみんなには全く聞こえていなさそうだった。
「そりゃあそうだろ。ほんの数か月前まであんなに太ってたんだ。彼氏なんて絶対いなかっただろ」
「……まぁ、そうですけど。でも!中学で激太りするまでは、結構見た目は普通だったんですよ。あ!小学五年生の時には人生で初めて男の子に好きだって言われたこともありますし」
って…私は一体何を言ってるんだ。