クールで不器用な君。
前までは車も出して貰っていたが、私が嫌だと言ったらやめてくれた。
車で校門前まで登校したら、目立ってしまう。
それに、お金があるからって贅沢したいわけではない。
私は、普通に過ごしたいから。
そうこうしているうちに、学校についていた。
「祐美ちゃんおはよう!」
「おはよ、瑠璃」
少しねむそうな裕美ちゃんが、アクビをしながら返事をした。
「山瀬さんおはよ!」
「佐伯くんもおはよ。」
佐伯くんは、相変わらず元気いっぱいだ。
「やった、山瀬さんが返事してくれた」
なぜか、そんな些細なことに喜ぶ佐伯くん。
「あ、佐伯くん。思ったんだけど、その『山瀬さん』って堅苦しいな」
これだけ話しかけてくれるなら、苗字で呼び合うのも少し堅苦しい。
「そう?なら、る、る、瑠璃…ちゃん?」
「うん、それでいいよ。じゃあ私も雄太くん……でいいかな?」
私が名前を呼ぶと、雄太くんは頬を真っ赤にして返事をした。
「はい!!」
「あんた、喜び過ぎ」
裕美ちゃんが、佐伯……じゃなくて、雄太くんに冷たい視線を送る。
「だってさ…!!」