クールで不器用な君。




「それより、七瀬くんも大丈夫なの?」




「んー。まぁ、熱は下がったと思うけどまだ少しだるい。」





「そう……。けほっ。」




「薬持ってくるから。」




リビングで風邪薬とミネラルウォーター、冷蔵庫に入っていたゼリーを持ち出した。




それを渡すとパクパクと食べていた。





しかし、粉薬を渡すと顔を歪ませ返してきた。




「粒の無いの……?」




「ない。ほら飲んで?俺はちゃんと飲むよ?」




目の前で口に薬と水を含むと飲み込んだ。



少し苦いがこのくらい苦ではない。




「嫌。飲みたくない。」




子供の様に駄々をこねる。




「じゃあ口移しがいい?」




「く、口移し!?それも嫌!2度もなんて嫌!」



2度も?




そうだっけ?




成り行きで頬にはしたことあるけど口はないんじゃ?



もしかして頬のもカウントしてるとか?


まぁ、いいか。


「じゃあどうしたら飲むわけ?」





「粒な…」


「ない。」




「飲む。飲みます……。」




参ったのか勢いよく水で流し込む。




目には涙が溜まっていた。




「うぅ。」




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