クールで不器用な君。
訪問者は七瀬くん!?
放課後になっても、七瀬くんは朝のことを思い出せなかったらしい。
「る〜りぃ〜、この後どっか行こう?」
「祐美ちゃんごめんね、今日は用事があるの。」
「それは残念だ。"非常"に残念だ」
あえて強調していってくる。
「今度埋め合わせはするから、ね?」
両手を合わせて、裕美ちゃんに言った。
「絶対よ?」
「うん。じゃあ、ばいばい」
直ぐに学校を出て家に向かう。
お客様……仕事関係の人なら私にわざわざ会わせる必要無いよね?
誰なんだろう
歩いている途中、後ろから誰かが着いてきているような気配がする。
私が止まれば、後ろから聞こえる足音も止まった。
まさか、ストーカー?
ぱっと振り向けば、そこに居たのは七瀬くんだった。
あれ?
七瀬くんの家っとこっち方面だっけ…?
「七瀬……くん?」
「なに?」
普通な顔で普通に返事をされた。
「いや、七瀬くんの家って同じ方面なのかなぁって思って」
「いや、違うけどこっちに用があるだけだから。だから気にしないでいいよ」
「わ、分かった」
言われた通り、私は気にせず帰路を歩いた。
完全に気にすることがなかったかと言われれば、嘘になる。
一定距離を保たれると、気になってしまうのが、人間の心というもの。
七瀬くんは一体どこに用事があるんだろう……